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のうかい脳力開発

「のうかい」は脳で掴むという意味

 最近、講演に行った先での質問といえば、日本経済がどうなるのかの類(たぐい)である。景気が良くならないと自企業も良くならないという論理のようである。TVや新聞等が「小泉不況」などといっている。だからといって彼や内閣が不況になるように努力しているわけはない。また全ての企業が不況で赤字ということでもない。事実、史上最大の増収増益を出している会社もあるのだ。そうした会社の人たちは「不況」というはずがなく、言っている自企業の業績が悪いところだ。そしてその原因は政治や景気、すなわち他者であって自分のせいではないと言いたいのである。では彼らは、自企業が増収増益の時はどうであったか。
 内心自分の経営手腕を誇り役員報酬を上げたはずだ。

 ところで日本経済全体として、おしなべてみればこの百余年来ずっと発展してきているのである。世界恐慌の影響を受けたり戦争や大地震等の自然災害で破壊されたりして落ち込んだ時期もあったがちゃんと回復し取り戻している。ただ今回は戦争や大地震ではなく、1にデフレ、2にこれまでの無為無策部分のツケ回しが限界にきた、その点は異なる。だからそれらに対し構造的対処を実施しているのが現状であって、なにも日本経済の回復力が喪失したという証拠が出たわけでない。
 経済不振を招く諸構造や要素にメスを入れている最中だ。それも構造変革といっても全体というわけでなくごく部分にすぎない。部分にメスを入れただけで確かに痛みは全身に走る。その「痛い、痛い」といった泣き声にマイク向けることで拡声することが報道の主流となっている。またその泣き声を聞きつけこれこそ自分の存在感を示す機会としたがる輩(やから)、既得権を護りたがる連中が、いかにも政権が日本経済をぶっ壊しているような錯覚を与える発言や行動をしている。そんなに正義感があるのなら、かってT首相が国を私物化し私腹を太らしたときに、どうして発揮しなかったのかと言いたくもなる。

  繰り返すが日本経済のファンタメンタルズの大部分はこれまでと変わっていないし、メカニック的にも正常に機能している。だから阻害要因だけを取り除けば、本来の経済原理が正常に働き出し日本経済は間違いなく進歩発展の道を歩みだすのである。

 経営者としては、一部の利権を代表する連中や論家などがいう「未曾有の大不況」といったあおりやはやしたてに煩わされてはならない。変わらないことに関しては今まで通りやればよいし、変化したことだけに対応するという経営のセオリー通り、冷静に自企業の進歩発展を実現するよう動けばよいことである。経済のマクロベースの推移に右ならいしたり、他人の悲観論に「ああそうですか」と同調したりするのは馬鹿げている。

 経営者は、己の事業にひとりでも多くの消費者の支持を得ることにまい進することである。その結果、必然的に自企業は増収増益になり、その総和としての日本経済も良くなるのだから。

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